サービスが先、利益は後
表題は(元ヤマト運輸会長)の【小倉昌男氏】が著した「経営学」に残されています。
【小倉昌男氏】は1924年東京都に生まれ、1947年に東京大学を卒業し、1948年に父親が経営する大和運輸株式会社(現ヤマト運輸株式会社)に入社しました。その後1971年に社長に就任し、1976年に個人宅配事業「宅急便」サービスを開始しました。その後1995年にヤマト運輸会長を退任し、2005年に81歳でこの世を去りました。
『サービスが先、利益は後』は彼が「宅急便」サービスを開始する際に定めたヤマト運輸の信念を表しています。ヤマト運輸は、もともとは商業貨物事業を基幹業務としていましたが、1970年代に急速な業績悪化に見舞われ、経営戦略の抜本的な見直しを余儀なくされました。そこで【小倉氏】は、全く新しいビジネスモデルとして、商業貨物事業と対をなす事業形態である個人宅配事業に着目しました。
当時〔個人宅配事業には、「荷物がいつ、どこの家庭から、どこへむけて出荷されるか分らない。」という大きなデメリットがあるため、民間業者が参入して採算を取ることは不可能である〕とされていました。しかし【小倉氏】は個人宅配事業の中に大きな可能性があることを確信し、町中の酒店や雑貨店などに荷物の取次ぎを委託する「取次ぎ店制度の導入」や全国規模の「輸送ネットワークの構築」などのデメリットへの対応を進め、社内外の反対を押し切るかたちで「宅急便」サービスを開始しました。
【小倉氏】は自身の著書である「小倉昌男 経営学」において次のように述べています。『サービスとコストはトレードオフ(二律背反)だが、両方の条件を比較検討して選択するという問題ではない。どちらを優先するかの判断の問題なのである。』
【小倉氏】は、宅急便事業の最大のポイントは「荷物の密度を濃くする、すなわち荷物の総量を増やすことにある。」としています。たとえ荷物1個あたりの利益はわずかであっても、その総量を増やすことにより、じわじわと利益がたまっていき、ついには損益分岐点を越えて黒字に転ずることになります。つまり「荷物の密度」を濃くするためにはサービスを向上させて「宅急便」をより多くの顧客に利用してもらわなくてはならないのです。サービスの向上のために、ヤマト運輸は「黒猫ヤマトの宅急便」として血のにじむ様な努力をし、現在でもますます業績を伸ばしながら、新しいサービスのために奮闘しています。
【小倉氏】のいう『サービスが先、利益は後』はけっして利益はいらないといっているのではありません。利益の追求よりサービスを向上させるほうが、結果的に利益も付いてくるのです。
今年も、4月に7名の新入社員が入社されました。先輩社員の皆さんと共に、サービスの向上に努め、KONOIKE第4期の目標に向かって果敢進んで行きましょう。