“能”力
「能」という日本が誇る伝統芸術はもちろん御存じのことと思います。
私はまだ舞台も観たこともないほとんど未知の領域ですが、最近は少しづつ興味を抱くようになりました。
というのは、少し前に恩師が能面を彫っており展覧会に呼ばれ見学に行ってきたこと。お客様で能に深い興味を持っていらっしゃる方がいて話をする機会があったからです。
能とは「人間を描く芸術である」
能には老若男女、あるいは神や鬼、草木の精にいたるまで様々な存在が登場するようで、情愛、報われない恋の苦しみ、悲惨さ、平和への願いなど時代が変わっても人間のなかに渦巻いている普遍的な思いが表現されるそうです。
600年以上の時を超えて伝承されてきた”能”という世界最古の芸術には、混迷し続ける今の世相に対し、人間そのものや生き方についての複雑な問いかけを我々に訴えている”力”がこめられているのでしょう。