アメリカの市政
先日、当社2代目社長で現在非常勤の監査役をお願いしている「白井啓智さん」よりKONOIKE創業者で初代社長の「中津川繁雄さん」が書いた文章の一部を頂きました。
静岡新聞の「窓辺」に連載していた文章の数々のコピーです。その中の昭和55年4月18日号のタイトルが表題の『アメリカの市政』です。初代社長の「中津川繁雄さん」は若い頃浜松市の三方原の村長さんになり、また静岡県会議員になった後「鴻池不動産」を設立しましたが、政治家としても経営者としても卓越した才能をお持ちでした。
今日は今月7月11日に投開票が行われる参議院選挙もありますので、昭和55年という今から30年以上前に書かれたこの文章を紹介し、当時の我が社の先輩が持っていた政治に対する考え方を勉強したいと思います。
《 毎日の新聞やテレビを見るたびに、これから石油はどうなるのか。インフレはどうなるのか、内外の政治不安など、どのようにおさまるか、考えれば考えるほど、気になる問題が多すぎる。今は世界的な視野にたって、判断をせねばならぬ時代かもしれないが、身近なところを考えてみたい。先日新聞で、浜北市と湖西市が、行財政の見直しを民間機関に調査を委託したと報ぜられた。浜北市は市民133人に役人が1人の割合であり、湖西市は市民77人に役人が1人である。全国の市町村も大体、似たり寄ったりである。アメリカの50万人ぐらいの都市においては、市は警察官まで含めて、役人は200人ぐらいであるから住民2500人に対し、役人は1人の割合である。日本とはとても比較にならない。浜松市の場合は人口49万人に対し、役人の数は、4400人である。これをアメリカでは200人の役人で賄っている。アメリカの50万人ぐらいの都市では、市会議員は7人で、そのうえ議員は無報酬である。選挙で最高点をとった人が市長となり、2番目が副市長(助役)を勤める。それに引き換え日本では、市会議員は50人ぐらいで、そのうえ報酬(歳費)を支給している。市町村の上には、県の役人がおり、そのまた上に国の役人がいるのだから、役人を養うために、国民はがんばっているようなものである。地方自治体がこのようであるうえに、国の財政は、4割も国債に依存して現在、国の総予算額より大きい66兆6千億という借金をかかえて、ほんとうに大丈夫かと疑いたくなる。これからの時代は、予算をぶんどる政治、ねだる政治から、費用を持ち寄る政治、費用を持ち合う政治、費用を持ち出す政治へと、方向転換を急がねばならぬ。住民のためにしてやる政治から、一歩前進して、住民がする政治にまで到達しなければ、安い政府も、民主主義の国も実現しない。 》
今から30年以上前でも、現在でも全く同じような問題が我が国の政治にはあったようで、そんな中でも日本は今までは成長して来ました。それでもここ数年の流れを見ると、今後はどうなるか心配です。きちっと足元を見て成長して行きましょう。