常に、「結果」で語れ
表題は日経ビジネス第1613号(10月24日発行)の中の『伊藤忠商事社長、岡藤正広氏』のコラムのタイトルです。4回に亘り書かれたコラムでしたが、今回が最終回となっています。岡藤社長が長年に亘って勤められた伊藤忠商事で得られた経験をもとに分かり易く商売、仕事の仕方を述べられています。今日はこの最終回の中から私なりに抜粋して皆さんに紹介したいと思います。
《 今回は、僕がプロの商売人として、これだけは持っていて欲しいと願う心構えを、いくつかお話ししておきたいと思います。今後、会社の中核を担っていくであろう若手の皆さんは、ぜひ心に留めておいてください。1つは、「会社のルール」は変えられないということです。どういうことか。これは、スポーツで言うと分かりやすいんですけれど、例えばサッカーは11人で戦う競技ですね。競技時間も原則90分と決まっています。このルールに対して、「あともう一人おったらなあ」とか「もう少し時間を短くしてくれ」なんて文句を言う人間はいませんよね。会社もこれと同じです。組織には、各々のルールがあります。すなわち、たくさんの社員をまとめ上げて、儲けを最大化するために、最低限守るべき規則ですね。「会議は時間通りに来る」といったこともそうやし、コンプライアンス(法令順守)といった大きなものも、このルールに含まれます。皆さんにはまず、これらのルールは変えられないものだと覚悟して、仕事に臨んで欲しいと思います。どうしてこんなことを言うかというとね、やっぱり自分の仕事が出来ない理由を社内のルールや外部環境のせいにする人が多いんですよ。僕の経験から言っても、仕事が出来ない人間ほど、ルールに対して細かい文句を言う。予算が達成できない理屈ばかり、次々と並べていくんだよ。いまだに「リーマンショックの影響が」とか言い訳しているやつがいるからな。みんな戦う条件は同じでしょう。それなのに、結果が出ない理由を社内ルールや外部環境のせいにしたって、面白くないだろうに。スポーツも仕事も、ルールがあるから、面白いわけですよね。もし、本当にルールがおかしいと思うなら、まず結果を出してから主張すべきですよね。認められて、見直せる立場にまで偉くならないと。そこで初めて、ルールを変えるかどうかを考えればいいんです。職場の人間関係もおなじですよね。僕も、よく若い部下から相談を受けました。「上司とソリが合わず、悩んでいる」とね。それじゃあ、これが自分のお客さんやったら、どうするの?「ソリが合わないから客を変えてくれ」と言いますか?そんな人間はとても商売なんかできないよな。いろいろなお客さんがおって当たり前。中には難しいお客さんもいるでしょう。そんな時、相手をどのように攻略して、信頼を獲得して行くか。僕なら、そう考えて相手と向き合います。まあ、上司なんて、だいたい3年くらいで代わるんです。その期間をいかにして合わせていくか。これは、商売のお客さんと一緒なんだから。こんな悩み、きっと社会人の誰もが経験しとると思いますよ。それでも文句を言うなら、辞めたらいいでしょう。でも文句を言っている時間があったら、やっぱり現場に行って、いかに儲けるかを考えることですよ。僕はプロの商売人は常に「結果」で語るべきだと考えています。 》
そのとおりですよね。まずは結果を出すこと。それには目の前の仕事を現場に行って対処すること。それにつきます。
次に4回の連載で語られた岡藤社長のプロの商売人としての心構えを紹介します。
①まずは目先の仕事に邁進せよ。(その積み重ねが大志へと導く)
②仕事に手を抜くな。(自分一人くらいと思った瞬間、組織は崩壊する)
③競争条件は変えられない。(文句を言う前に、結果で語れ)
④商売の損は仕方ない。(決して人の信用は損なうな)
⑤クレームは吉。(自分が必要とされている証しと思え)
⑥商売は浪花節。(時に勘定より人情を大事にしろ)
⑦仕事を心から楽しめ。(人生、仕事ほど面白いものはない)
以上岡藤社長の言葉を紹介しました。迷ったらここに立ち返れと結ばれています。