WIN―WINを考える
表題は以前にも紹介した【スティ-ブン・R・コヴィー】著の『7つの習慣』(キングベアー出版)の中にある言葉です。この本は随分前に発刊されていますが、多くの読者にいまだに影響を与えている人間(会社)の生き方に関する本です。この中で第4章に書かれている『WIN―WINを考える』を今回は私なりに抜粋して紹介します。
《 Win―Winとは「自分も勝ち、相手も勝つ(それぞれの当事者が欲しい結果を得る事)という考え方である。Win―Winを考えることは、単なるテクニックではない。それは人間関係の全体的な哲学である。Win―Winは人間関係における六つのパラダイムの一つである。
①Win―Win 自分も勝ち相手も勝つ。それぞれの当事者が欲しい結果を得ること。
②Win―Lose 自分が勝ち、相手は負ける。
③Lose―Win 自分が負けて、相手が勝つ。
④Lose―Lose 自分も負けて、相手も負ける。
⑤Win 自分だけの勝ちを考える。
⑥No Deal Win―Winの合意または、取引条件に至らなければ、取引しないことに同意する。
Win―Winは、全ての関係において常に相互の利益を求める心と精神のことでありお互いに満足できる合意や解決策を打ち出すことである。この解決策では全ての当事者が心から納得しており、合意した行動計画を実行しようと決心している。WinーWinは人生を競争でなく、協力する舞台とみるパラダイムである。しかしほとんどの人は人生を、強いか弱いか、厳しいか甘いか、勝つか負けるか、食うか食われるかといった具合に「二分法」で考えがちである。私はこの考え方には、基本的に欠陥があると思う。
それは原則でなく、力関係や地位に基づいているからだ。Win―Winの考え方は、全員を満足させるに十分な結果があるはずだ、というパラダイムに基づいている。ある人の成功は他人の成功を犠牲にしなくても達成できるという考え方である。Win―Winとは、当初それぞれが持っていた案ではなく、全く新しい第3案の存在を信じることであり、相手や自分の考え方に限定される必要はなく、より良い方法があるはずだと確信することである。
次にある大手食品販売店の社長との会話を紹介する。
「コヴィーさんこのWin―Winという考え方はとても素晴らしいことのように聞こえますが、あまりにも理想的すぎて、絵に書いた餅ですよ。本当の商売はもっと厳しいもので、そういうお人好しのようなやり方では通用しないと思いますよ。皆Win―Loseを考えてるんですから、ゲームはうまくやらないと、こちらがやられてしまいますよ」「それじゃ、顧客とWin―Loseをやってごらんなさい。それは現実的ですか」「それはだめですよ。」と彼は答えた。「なぜ?」「お客様を失くしてしまうじゃないですか」「それではLose―Winでやったらどうですか。商品をただで提供したらどうでしょうか」「いや利益がなければ明日はなし、ですよ」私達は様々なやり方を考えてみたが、結局のところWin―Win以外に現実的な方法は無いように見えた。「お客様に対してはそうですが・・・」彼はそのことについては認めた。しかし「仕入れ先は違うんじゃないですか」と続けた。「仕入先からすれば、あなたは顧客でしょう。それなら、なぜ同じ原則が適用できないんですか」と私は聞いてみた。「実はショッピングセンターのオーナーと賃貸契約を再交渉したばかりなんです。」と彼は話し始めた。「私達はWin―Winの態度で交渉に臨みました。率直に、無理を言わず、相手の立場を考えるようにしました。すると彼はその態度を弱さと見てとり、私達は完全にやられてしまったんです。」「なぜLose―Winをやったんですか」と私は訊いた。「違いますよ。Win―Winを狙っていたんです。」「今、やられたと言ったじゃないですか」「言いましたよ」「つまりあなた方は負けたんですね」「そうです」「そして相手が勝ったんですね」「そのとおりです」「それを何と言うんですか」
彼は今まで自分がWin―Winと呼んでいたものが、本当のところLose―Winにすぎないことが分って大きなショックを受けた。》
このような教訓を得て、私たちKONOIKEは本当のWin―Winを考えて行動したいものです。