運勢をよくする心がまえ
表題は浜松医科大学名誉教授「高田明和」先生の著書【般若心経の処方箋】の中の第5章にある言葉です。高田先生は1935年清水市に生まれ慶応大学医学部大学院を修了した医学博士です。著書も多くあり、またテレビラジオなどにも多数出演されていますので皆さんご存じだろうと思いますが、今日はこの先生が仏教をとことん勉強なされ(心の健康が特別に大事である)との考えから書かれたこの本を引用させていただきます。お医者さんである先生の宗教感が、私にはとても新鮮で皆さんにも是非読んでほしい本でもあります。この中の第5章42の『相手を尊べばうまくいく』を紹介します。
《 人間関係こそ私達を苦しめる元です。これを避けようとするなら、世俗を離れて隠遁の生活をする以外ありません。ところが人間というものは一人では暮らせないので、「憂しと見し世ぞ、今は恋しき」というような慨嘆の情が浮かぶのです。経営の神様とうたわれた松下幸之助氏は「人を使うは苦を使う」という言葉をあげて、「江戸時代のように封建的で、家長、主人、先輩の言うことは絶対だと思われ、多くの人がそれに従った時代に、このような言葉が生まれたというのは、人間を使うのがいかに難しいかを示している」と書いています。またこのことは、人をうまく使える人が人の上に立って、その組織を支配したということも意味しています。私は常に二つのことを考えて人と付き合っています。第一は、全ての人は幸福になりたい、だからそれを妨げる状況にあれば、恩があろうが、義理があろうが、自分の利益を第一にするものだということです。
第二には相手のもっともつらいことを衝かなければ、たいていの関係は維持できるということです。世間を見ると「あんなに世話をしたのに、こちらがうまく行かなくなると鼻もひっかけない」とか「貧乏していた時には、いろいろ面倒みたのに、うまく行くようになると近づきもしない」などと、他人の薄情を批判する言葉をよく聞きます。しかし、これはお互いさまで、自分が同じ立場におかれれば、意外に自分の利益を優先し、世話になったことなどかまっていられないようになるかもしれません。いや人間というものはそのようなものだと考えて生きてゆくのがもっとも心を痛めない方法だと思われるのです。このことを可能にするには、孔子の言われたように「君子の付き合いは、淡き水のごとし」という態度が必要のように思えます。これは、世話をしても、その見返りを求めずという態度です。これを道徳のように考えると苦しいのですが、世話をしたということで自分の業に貯金をした、その結果は良い運勢として表れると考えれば、あまり相手を批判しないようになります。上司、部下のいずれにも、この心がけで付き合うことが必要なのです。もう一つはどんな人間にも批判されたくない秘密があるということです。人間は痛いところを衝かれると決して忘れないものです。家柄、学歴、容貌などです。良い人間関係が運勢を良くする秘訣でもあります。》
よく学んでいきたいことですね。