敵に学ぶ
表題は週刊情報誌「商工経済情報」第2709号に載っていた「前照燈」の題名です。大変役に立つ内容でしたので、皆さんに読んで頂きたくここに紹介します。
《 徳川家康は戦の名手で、ほとんど戦って負けを知らない人物である。秀吉でさえも、小牧・長久手の合戦では一敗地にまみれているのである。しかし、その家康でさえも完敗を喫したのが武田信玄であった。三方ヶ原の合戦がそれで、彼我の軍勢の数に差があったとはいえ、名人芸ともいえる信玄の戦いぶりの前に、家康自身が九死に一生を得るような負け戦であった。とこらが、それから間もなくして、信玄は病のため陣中に没してしまった。それを聞いた家康は家臣にこう言ったという。「まことに惜しい人を亡くしたものだ。信玄は古今の名将で、自分は若い時からその兵法を見習ってきた。いわば私の師ともいえる。隣国に強敵があれば、政治でも軍事でもそれに負けないようにと心掛けるから、自分の国も強く良くなる。そういう相手がいないと、つい安易に流れ、励むことを怠って弱体化してしまう。だから、敵であっても信玄のような名将の死は残念であり、少しも喜ぶべきことではない」さすがに家康という人は、天下をとるだけあって、ものの見方が卓越している。強力な敵が隣国にいて、つい先頃その相手に敗れたばかりである。その強敵が突然に死んだのだから、手をうって喜びたいところである。しかし家康はそんな目先のことだけでなく、もっと大きな観点から、信玄を自分の師とも励みとも受け取り、だから信玄のような相手がいてくれることが、自国の長久の礎を造るのにプラスになると考えたのである。今日、例えば企業などにおいて、非常に力もあり、立派な経営をしている相手と競争していくような場合、ともすれば、困った、大変だと考えがちになるのではないか。しかしこれを家康のような見方に立てば、相手の経営のいいところは大いに取り入れてやろう。また、こういう相手と競争して行くのは大変だけれども、同時に非常な励みにもなる。結局自分のところの発展のプラスになるのだと考えられるのではないか。そうなれば、相手の良さも素直に吸収でき、さらに気持ちものびのびとして、相手に負けないような知恵も出てくるかもしれない。家康という人は素質ももちろん立派であったのだろうが、そういう、敵から学ぶといったところに天下をとった一つの要因があるのではないかと思われる。昨今の厳しい経営状況の中、自企業の殻に閉じこもるのではなく、周りの企業をよく観察し、良い点や見習う点は積極的に取り入れていくことも必要な事ではないか。 》
まったくそのとおりです。私達の周りには見習うべき企業がたくさんあります。良い点は大いに学び吸収して行きましょう。将来は幸せいっぱい、夢いっぱい。そんな企業を皆で創って行きましょう。経営理念である『KONOIKEは お客様と社員が 「夢」と「誇り」と「喜び」を共創できる素晴らしい会社を目指します』を実行しましょう。